太陽系第三惑星
平沢進:点呼する惑星(amazon)
平沢進のソロアルバム、11作目です。
きたよヒラサワ。やったよヒラサワ敬称略。今作は、ちょっと特別です。
平沢進は公式サイトで、アメリカのイラク侵略とそれに追従する我が国に本気で異議申し立てをしています。そういうことを明確に表明した、数少ない音楽家のひとりです。彼はかつて、「9・11以降の世界は正気を失いました。」と言い切りました。そのとき録音された2曲の「アンチ殺戮ソング」は、以下のリンクから無料でDLできます。2003年の作品です。
それでも、2006年のソロ前作『白虎野』ではそういう政治的テーマに直接触れることは、微妙に避けられていました。ですが、今作は違います。歌詞を慎重に聴くべき作品です。いつもの難解なヒラサワ語だと思って聴き流してしまってはもったいない。
上記『殺戮への抗議配信』内のメッセージで、平沢進はリスナーに対して「皆さんは常に私のメッセージから自由です。」と礼儀正しく書いています。今回の新作へのコメントでも、彼は「まずは音楽として楽しんでもらいたいと思う。」と先手を打っています。それを承知で言いましょう。先手を打たれてハイそうですか、じゃダメだろう、と。音とメロディと声に感動するだけじゃなく歌詞の意味を受け取ろう、と。そこまでやってから「平沢進から自由になろう」、と。はっきり言って検索してまわった限り、気づいていないか無視しているひとがずいぶん多いからです。もちろん、ちゃんと聴いているひと(某ベテラン女性漫画家のブログがヒットしたときにはちょっとびっくりした)もいます。
911から8年近くが過ぎました。21世紀の始まりかたは最悪でした。それでも人間は立ち直っていく…と思ったのに8年たってまだこんなざまか! そんな彼の怒りを聴き取らなければ、本当にもったいないですよ。すべてのヒラサワファンとヒラサワ未体験の音楽ファンに、こんなにも押しつけがましい前置きとともに、このアルバムを改めてお勧めしたいと思います。
呼ばれりゃ応え パブロフの脳
あー辛い辛い繰り返し
応える刹那 世界は生まれ
あーだるい点呼の星の上
挙手して夢見よ与えたとおりの世界を
(『点呼する惑星』より)
仕上げにはガセネタの悪書
ダーウィンの書の紐を解き
永久なるはメシアよと
腐った詐欺師 月下の馬小屋で
(『聖馬蹄形惑星の大詐欺師』より)
重力より早く
落ちる石の壁
低きより高きへ
何もかも流れる
(『Astro-Ho!帰還』より)
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コメント
『救済の技法』で頂点を極めた後の作品の中では一番いいかもしれないですよね。
『Blue Limbo』に続く惑星もの。
どこかカート・ヴォネガットを彷彿させる曲名。Astro-Hoは何処へ…
投稿: TY | 2009年3月13日 (金) 12:56
>TYさま
ヒラサワさんの、いくらでも深読みの余地がある音と歌詞が好きなんですが、今作は『Blue Limbo』以降に絞り込まれてきたメッセージ性が、いちばん明確に出ている気がします。
『救済の技法』傑作ですよね。遡りますが、『AURORA』も大好きです。
投稿: kensuke | 2009年3月13日 (金) 23:28
『オーロラ』もいいですねぇ。
『サイレン』と『救済の技法』、ボーナス・トラック入りで再発されますね。
投稿: TY | 2009年3月16日 (月) 16:50