« パリで腕をぶん回すよ | トップページ | 見送りとバルタン星人 »

2009年3月25日 (水)

オールドファンは2枚組を入手されたし+…

 表題のエントリを書いてアップしようと思っていたときに、京都の友人から電話がかかってきた。旧友の訃報だった。ともあれエントリはアップします。

 Pet Shop Boys : Yes, etc. (amazon)

 Psbyes_3

 Pet Shop Boysの新作です。ポップです。クールです。かっこいいです。エレポップの基調は24年前から変わらないのですが、いつの間にかクラシックやラテンや今どきのエレクトロ要素(細かいところは正直わかりません)をがんがん取り込んでここ数年どんどん大げさな音になっていたのが、今回は一段落してます。もちろん、一聴して彼らの曲だとわかります。Neil Tennantの声が誰にも似ていないせいもありますが。
 もともとシニカルで冷めた歌詞を書く彼らですが、このアルバムではラブソング的なフレーズが目立ちます。

   君には愛が必要なんだよ ナイーヴだと言われたって平気さ
   愛する君がいないとだめなんだ
   僕は美しいひとたちのように生きていたい…etc.

 でも実は、一見ポジティヴな今回の歌詞の裏には、「もう『世界』は見るに堪えない」という暗い諦念がはっきりと透けて見えます。「だから愛するひとだけを見ていよう」と。

 ところでこれは2枚組盤(1枚アルバム単品もあって、そちらはジャケが白地)です。ボーナス・ディスクは例によってリミックス集なのですが、冒頭に何気なく1曲だけ新曲が入っています。聴いてびっくり。Human LeagueのPhilip OakeyがNeilとハモっている! そしてこの曲が、この新作の裏テーマをストレートに歌っている、どす黒いポップソングなのでした。

 Philip OakeyのHuman Leagueは、Heaven 17と分裂するまでは、テクノロジーによる未来構築の可能性について、重くけだるく、それでも前向きに歌っていました。そして彼らがHuman League としてデビューする前のユニット名は、まんまThe Futureでした。今、こんな歌をNeilがPhilip Oakeyとデュエットすることの切実さと衝撃は、オールドスクールなUKニューウェイヴ・ファン、そしてテクノロジーの輝かしい未来に心躍らせたことのある一定の世代のひとにしかたぶんわからないでしょう。人選といいタイトルといい、なんて策士なんだPet Shop Boys。僕にとってはこの隠し玉的1曲が、今回の白眉です。

 『This used to be the future
    (ボーナス・ディスク1曲目/以下抜粋/誤訳御免)

   I can remember planning leasure
   Living in peace and freedom from fear
   Science had promise to make us a new world
   Religion and prejudice disappear

   レジャーに出かける計画を立てたよね
   恐怖を感じることもなく穏やかに暮らしていたころ
   科学が新しい世界をつくってくれるはずだった
   宗教と偏見は姿を消して

   I can remember when this was the future
   Where it was gonna be at back then
   Now religion and nuclear energy
   Have united to threaten.
   Oh God! Amen.

   想い出せるよ 未来はそんなふうだった
   あのころの未来はそうだった
   今は宗教と核エネルギーが結託して
   世界を脅かしている
   神よ! アーメン

   This used to be the future
   Where it was gonna be at back then
   Now religion and nuclear energy
   Have united to threaten.
   Oh God! Amen.

   未来はそんなふうだったんだ
   あのころの未来はそうだったんだ
   ところが今は 宗教と核エネルギーが結託して
   世界を脅かしている
   神よ! アーメン

 ちなみに、The Futureの音源の一部は今も手に入ります。

 The Future and The Human League :
 The Golden Hour of the Future
(amazon)

 Future

|

« パリで腕をぶん回すよ | トップページ | 見送りとバルタン星人 »

コメント

あの2人がハモる・・・久しぶりに聴いてみたくなりました。

投稿: haru | 2009年3月26日 (木) 22:04

これから、訃報の方が多くなるのでしょうね。
淋しいなあ。
やっぱり若い頃の友人は、いつまでも昔のイメージだから。
東京ディズニーランドへ、みんなで行ったのが夢のようです。
あれが、最初で最後のまま・・・

投稿: 紫野 | 2009年3月27日 (金) 15:05

わたしオールドファンだ。テレビのワイドショーでも紹介されてて、ほしいなあ、と思っていた所。この人らもリヴァプールやったよな。どうしてあそこはこういい人たちを生み出すのだろう?暗い港町だったけど。

投稿: ともこ | 2009年3月27日 (金) 23:21

>haruさま

ふたりのデュエット曲、今のところ日本盤2枚組以外に収録されてるCDが見つかりません。iTSでも配信してないみたいだし…。
PSB流のイフェクトがかかったフィリップ・オーキーの低音ヴォイス、かっこいいですよ!

>紫野さま

本当に急な訃報でした。昨日京都にとんぼ帰りしました。

東京ディズニーランドは、最初かも知れないけど別に最後とは限らないんじゃ…?

>とここさま

テレビで紹介してた?なんか意外。

そう、彼らもリヴァプールですね。24年前に『ウェスト・エンド・ガールズ』を聴いたときからファンですが、こんな国民的(世界的)ユニットになるとは、当時は思いませんでした。

買うならぜひ2枚組を!

投稿: kensuke | 2009年3月29日 (日) 11:06

追記・訂正です。

『This used to be the future』が収録されているのは日本盤だけじゃなくて、2枚組イギリス盤がamazon.co.ukでは出てました。(それにしては輸入盤屋で見かけませんが)

アメリカでは発売されていないようです。amazon.comで買える2枚組は、今のところなんと日本からの輸入盤のようです。
ストレートな宗教批判ソングに対して、誰かが「いらぬ配慮」をしている…ような気がする。

投稿: kensuke | 2009年4月 9日 (木) 10:44

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/78879/44462025

この記事へのトラックバック一覧です: オールドファンは2枚組を入手されたし+…:

« パリで腕をぶん回すよ | トップページ | 見送りとバルタン星人 »